二つの世界
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色あかき世界のなかに
うららにも小鳥さへづり、
色白き世界のなかに
ものにぶき駱駝は坐る。
ものにぶき駱駝の見るは
白き砂、白き思の星、
えもわかぬ髑髏のなげき、
ピラミドのたそがれの色
うららなる小鳥のうたは
また遠く、ひと世へだてて
脳の内、もだえの熱に、
謔言のかずかずうたふ。
かなたには隊商の鈴、
こなたにはあかきさへづり。
今日もまた境し立てる
スフインクスひとりしづかに。
スフインクス、恐怖の沈黙、
そが胸の象形文字の
謎も、あな、半しろく、
はた赤く、聴耳澄ます。
あはれ、いま、白き世界の
ゆふまぐれ。しかはあれども
色あかき世界の真昼。
スフインクス、こころは惑ふ。
四十一年八月
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