郊外

北原白秋

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悄悄と我はあゆみき。 畑には馬鈴薯白う花咲きて、 雲雀の歌も夕暮の空にいざよひ、 南ふく風静やかに、神輿の列遠く青みき。 かかる日のかかる野末を。 嗚呼暮色微茫のあはひ、 笙すずろ、かなたは町の夜祭に 水天宮の舟囃子。――夕ごゑながら 乾からびし黄ぐさの薫、そのかみも仄めき蒸しぬ、 温かき日なかの喘息。 父上は怒りたまひき、 『歌舞伎見は千年のち。』と。子はまたも 暗涙せぐるかなしさに大ぞらながめ、 欷歔しつつ九年母むきぬ。酸ゆかりき。あはれそれより われ世をば厭ひそめにき。――

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