おだやかな冬

北原白秋

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枯れはてて、おだやかな眺めの冬、 柔かな日あたりの冬、 冬はまだ渓の向うにある。 あの老いた胡桃のこずゑにある。 よく光る白樺の枝枝にある。 枯山と枯野と、 ところどころの沢水と、 いまだに深くはぬくもらぬが、 なにかに酔はせるものがある。 安らかないい収まりが。 かうした一日をわたしは持つ、 こころよい疲れ、 旅のおこたり、 棄てはてて、ほうとしたこころ。―― そのうちに春も来やうよ。 よい空気だ。 よい光線だ。  わたしは足をさすつてゐる。  縁側で膝をたたいてゐる。

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