落雷
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静まりてなほもしばらく
霧のぼる高原つづき
爛れたる「時」ははるかに、
恐ろしき苦悩をはこぶ。
驟雨またひといくさ、
走りゆく雲のひまより
かろやかに青ぞら笑ひ、
日の光強く眩しく
野はさらに酷熱のいろ。
腥くさきオゾンのにほひ
雫する穂麦のしらみ、
今裂けし欅の大木
燥るがごと疼くいたでに
脂黒くしたたるみぎり、
油蝉ぢぢと鳴き立つ。
根がたには蝮さながら
髪あかき乞食ひとり
仰向けに面桶つかみ、
見よ、死せり。雷火にゆがむ
土いろの冷き片頬に
血の雫――濡れて仄めく
一輪の紅きなでしこ。
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