魚の里

北原白秋

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酒匂川ちかづきぬらし、 色、匂、またさま変へぬ。 葦の根に水気たつもの、 ややにして鯇光らむ。 薄あかり、かがむ童も なにかよき鮎の色沢あり。 年増づれ、眉根剃りたる、 燈さねば、青き鮠らし。 足柄の山をくだりて、 いくばくも道はあらぬを。 ほのぼのと東へ行くと、 月しろの火立に行くと、 身ははやも現身はなし、 心はや世のこころなし。 酒の仙、黄金亀の子、 我まさに唐の李太白。

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