初冬のわかれ

北原白秋

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冷えてあかるき園の中、 ただに噴水ぞゆらぐなる。 夏の記憶のなほ白き 楕円の、菱の花畑 なべてすがれて日も入りぬ。 けふの小径にわかるれば 紅さるびあの花老けし、 あとに陋しく笑ふなり、 色情狂の前髪の 花かんざしを見るごとく。 枯れくさの香に、夜のかげに 弱き児猫も匍ひめぐる。 すべて死したる同胞の 耳のあたりに目をよせて 鳴くもさみしや、針芝に。 冷えてあかるき園の中 空に噴水ぞゆらぐなる。 白雪のごと、玻璃のごと、 君が消えたる襟巻の 鳥の羽よりなほ白く。 四十四年十一月

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