水中のをどり

北原白秋

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色あかきゐもりの腹のひとをどり、 水の痛さにひとをどり。 腹の赤さは血のごとく、 水の痛さは石炭酸を撒るごとし。 時は水無月、日は眞晝、 ゐもりの小さきみなし兒は 尻尾もふらず、掌も開かず、 たつた、ふたつの眼を開けて ついとかへりぬひとをどり………… 風はつめたく、山ふかく、 青い松葉が針のごと光りて落つるたまり水。 色あかきゐもりの腹のひとをどり、 水の痛さにひとをどり。

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