大学通り

室生犀星

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私は大学通りの しきつめた石の上を歩くことが好きであつた ほがらかな幸福な温かい朝日は 本郷三丁目の屋上をすべつて しき石と並木の銀杏を染めてゐた 自分がここの都にくらしてゐること 又自分の仕事がだんだん認められる その歓しさを切に内感して 靴を鳴らして歩いて行くのであつた クラプントといふ独逸の大学生は ボタンの穴に大きなダアリヤを挿して 人ごみのした街を無邪気に歩いたといふ その詩のことなぞも考へられるのであつた 自分はけふも幸福であつた 朝日はみち亘つて 自分の胸や額にまで漲つてゐた

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