この道をも私は通る
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これはどうしたのだ
この闇のなかにうぢうぢとうごいて
銀貨一枚で裸体にもなる女等
君はこのやうな混濁の巷で
聖母マリアのやうな
美しい顔をどうするつもりだ
刷りへらした活字のやうな肢体は
釘のやうに歪つたくちびるは
その毒毒しい人を食つたやうな調子は
永久世の中へ出て行かれなくなるまで
稼いでも稼いでも
貧乏してゐる君達
手も足もすりへらして終ふまで
たましひをめちやくちやに傷めるまで
しぶかみのやうに
くしやくしやになつた肉体!
君だちを背景にしてゐる
この人類の生きやうはどうだ
いろいろの若い熱いたましひが
君らの傍にゐることを望んでゐることはどうだ
ああ この道を通るにも
自分は涙を感じる
一歩そとへ出れば
恐ろしい都会の大街道
家に居ればふしぶしのいたむやうな稼ぎやう
いまこそ私もこの道を通る
お前達の送る毒の花をも
自分は優しく接吻して上げる
「私が神様を離れてどうして生きてゐられませう。」早口に力を入れて彼女は囁いた。急に輝きを帯びた目をちらと彼に投げて。そしてラスコオリニコフの手を堅くしめつけた。
ドストエフスキイ
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