また自らにも与へられる日

室生犀星

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人間の苦労をつくづく私はして来た 欄間にかけた ドストエフスキイの顔を見る 室を歩くたびにその顔をよく見る けふも友人の苦しみを聞いた その人のことを考へるだけでも おれはよいことをしたと思ふ 自分が友の門のところまで行つて パンを投げ込んでからも 自分が果してさういふことをしていいかと 永い間自分を恥ぢた そして此人の肖像のしたで 打たれ苦しめられて 深い恥かしさを受けてゐる おお 大ドストイエフスキイ!

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