縧蟲
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わが父食ふべき餌を欠し給はざりしかば
われ年久しく鳥の如く歌ふを得たり。
わが父常に美衣を購ふに嗇ならざりしかば
われ宛ら宮廷の詩人の如くに奢るを得たり。
わが父のしゝむらに食ひ入りし
耳もなく目もなき縧蟲のわが身よ。
わが父俄に病みたまふ。
嗚呼われ町に走りて
名医をたづねんか。
山に上りて仙薬を探らんか。
わが父すこやかなれば
縧蟲のわが身とこしなへに餓ゑじ。
とこしなへに肥えなん。
わが思立つ孝のこゝろぞおそろしや。
おそろしや。いとはしや。あさましや。
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