老いたる者をして

中原中也

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老いたる者をして静謐の裡にあらしめよ そは彼等こころゆくまで悔いんためなり 吾は悔いんことを欲す こころゆくまで悔ゆるは洵に魂を休むればなり あゝ はてしもなく涕かんことこそ望ましけれ 父も母も兄弟も友も、はた見知らざる人々をも忘れて 東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く はたなびく小旗の如く涕かんかな 或はまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき 海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……    反歌 あゝ 吾等怯懦のために長き間、いとも長き間 徒なることにかゝらひて、涕くことを忘れゐたりしよ、げに忘れゐたりしよ……      〔空しき秋二十数篇は散佚して今はなし。その第十二のみ、諸井      三郎の作曲によりて残りしものなり。〕

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