去年と今年
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去年の四月には
きよらかな血をもつた船乘りのやうに
僕はこの麥と木と夜の村を愛しながら
いちにち飽きる事もなく喜んでゐたのに
今年はまるで日の沒りのやうに氣も重く
怨めしげな花と大氣の思ひにのりうつつて
ほのかな天の明暗のみ眺めながら
青ざめた一本の樅の木のやうに
自分のつらい孤獨な影を藪の上におとして
よびかへす事も出來ない昨日の艶情を
幽かな幻の色に描き
どうしてかうも夕暮の水の花を慕つてゐるのだらう。
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