(『自分は見た』収録・同題第1篇)

千家元麿

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朝、 清淨な火の風はよろづのものゝ上に吹き渡り 人も木も鳥も凡てのものが皆默つて戰きを感じる 非常な靜かさが空の頂天から地の底まで感じられる 棒のやうに横ふ雲も隅の方にかたづけられて 空にはあちらこちらで 白熱した星がくるくると廻轉し乍ら すばらしい速力でかけて行く 然うして 消えるものは消えて行き 天の一方がにはかに爆發して 血管が破れたやうに空に光りが潮して來る。 自ら歡喜が人の身に生じる。 にはかに一齊のものに暖い活氣が生じて來る かゝる時初めて見上げた空の感じは忘られない 人は空の頂天から地の底まで。 火の通じてゐるのを感じる。

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