落葉

千家元麿

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或朝、起きて見ると 裏の空地、一杯落葉して居た。 地面が僅か一處、現はれて居る程、地を埋めて 落葉は普通より大きく見えた。 日に反りかへつて皆んな裏返しになつて地面の上に載つて居た。 葉の落ちつくした木は明るくなつて居た。 それだけの葉の落ちた騷ぎはどこにもなかつた。 落ちた夥しい木の葉は少しも動か無い、死んだまゝ。 地面も微塵も動か無い 空も立木も動か無い。 靜かに日が當つて居た。死んだやうに。 空地の隅の日和には白い犬が足を投げ出して 昨夜の雨で汚れた毛を舐めて居た。 自分は奇蹟を思つた。 全く奇蹟だ。 この澤山の落葉は生命の過剩を思はした。 然うして大地と落葉との輕い接觸點に 自分は滲み出すやうな愛を感じた。 大地はその落ちた葉の中に埋れて靜かにそれを載せて浮んで居た。 動かない光りの中に。

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