猿の喰逃げ

薄田泣菫

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お山の猿はおどけもの、 今日も今日とて店へ來て、 胡桃を五つ食べた上、 背廣の服の隱しから、 銀貨を一つ取り出して、 釣錢はいらぬと、上町の 旦那のまねをしてゐたが、 銀貨は贋の人だまし、 お釣錢のあらう筈がない、 おふざけでないと言つたれば、 帽子を脱いで、二度三度 お詫び申すといふうちに、 背廣の服のやぶれから 尻尾を出して逃げちやつた。

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