をろの鏡

薄田泣菫

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夕ぐれの小霧のまぎれ、 やま鳥はけはひ靜かに 野がへりの翼おろしぬ、 やまの井の井手の禿木。 水の面のますみの色に、 やま鳥のをろの鏡や、 くづをれし女の胸に、 そのかみの夢のただよひ。 眞廣げの退羽たゆげに やま鳥は森にかくれぬ。 夢ざめしうつつの心地、 山の井のふかき吐息や。 夜の幕ゆららに落つる 夕闇の釀みのふかみに、 山の井は斧の柄のくつ 束の間を初めて知んぬ。

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