夕暮海邊に立ちて
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黄や、くれなゐや、淺葱の
雲藍色にしづみて、
日の影しづかに薄れ行けば、
黄金浮けし波の穗の
搖ぎも底に隱ろひ、
小兵の星のみひとつふたつ
遠き空にまたたきて、
夜の幕しづかに空を閉ぢぬ。
島姫宿る巖蔭、
流れ緩き淵の上、
疲れしかひなに揖をとりて、
白く光る鱗の
跳ねかへる音を聞きつつ、
今漕ぎ歸るか蜑の子らは、
闇き浪路の夕暮、
わが岸何れと惑ふらんよ。
磯邊に立てる荒屋、
童女は早く眠りて、
女房廚屋に隙や得つる、
形よき貝の火盤を
南の窓に點して、
舟漕ぐ目路にと輕くすゑぬ。
伏目がちなる尼僧の、
法會にともせる燭の如く。
夜次第に擴がりて、
引汐走る音のみ
眞闇に知らるる海のかなた、
白き手すがる戸の上、
低き光の目標、
船人かへると思ひやれば、
胸に沁み入る平和に、
おぼえず涙を巖に垂れぬ。
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