汽車は二度と来ない

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わずかばかりの黙りこくった客を ぬぐい去るように全部乗せて 暗い汽車は出て行った すでに売店は片づけられ ツバメの巣さえからっぽの がらんとした夜のプラットホーム 電灯が消え 駅員ものこらず姿を消した なぜか私ひとりがそこにいる 乾いた風が吹いてきて まっくらなホームのほこりが舞いあがる 汽車はもう二度と来ないのだ いくら待ってもむだなのだ 永久に来ないのだ それを私は知っている 知っていて立ち去れない 死を知っておく必要があるのだ 死よりもいやな空虚のなかに私は立っている レールが刃物のように光っている しかし汽車はもはや来ないのであるから レールに身を投げて死ぬことはできない

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