法の夕

上田敏

タグを編集・提案

作品の主題・モチーフなど、対象に固有の情報を登録してください。年代・形式・表記・文学運動などの共通分類は登録できません。会員タグの追加と、正式タグの削除は、5人の支持で自動反映されます。

ログインするとタグの追加・削除を提案できます。

夕日の國は野も山も、その「平安」や「寂寥」の 黝の色の毛布もて掩へる如く、物寂びぬ。 萬物凡て整ふり、折りめ正しく、ぬめらかに、 物の象も筋めよく、ビザンチン繪の式の如。 時雨村雨、中空を雨の矢數につんざきぬ。 見よ、一天は紺青の伽藍の廊の色にして、 今こそ時は西山に入日傾く夕まぐれ、 日の金色に烏羽玉の夜の白銀まじるらむ。 めぢの界に物も無し、唯遠長き並木路、 路に沿ひたる樫の樹は、巨人の列の佇立、 疎らに生ふる箒木や、新墾小田の末かけて、 鋤休めたる野らまでも領ずる顏の姿かな。 木立を見れば沙門等が野邊の送の營に、 夕暮がたの悲を心に痛み歩むごと、 また古の六部等が後世安樂の願かけて、 靈場詣、杖重く、番の御寺を訪ひしごと。 赤々として暮れかゝる入日の影は牡丹花の 眠れる如くうつろひて、河添馬道開けたり。 噫、冬枯や、法師めくかの行列を見てあれば、 たとしへもなく靜かなる夕の空に二列、 瑠璃の御空の金砂子、星輝ける神前に 進み近づく夕づとめ、ゆくてを照らす星辰は 壇に捧ぐる御明の大燭臺の心にして、 火こそみえけれ、其棹の閻浮提金ぞ隱れたる。

ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。

批評・感想 0

作品の表現や構成を検討し、根拠を示しながら評価・講評する場所です。

まだ批評・講評はありません。

法の夕の談話

疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。

まだ投稿はありません。

話題を投稿する

法の夕に寄せられた作品

詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。

まだ投稿はありません。

この詩に作品を寄せる