山之口貘

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斉藤さんは発音した だんだんだんということを たんたんだんだんと発音した それは矢張りのやはりのことを それはやぱりと発音した 学校のことを かっこう 下駄のことを けたと発音した こんな調子で斉藤さんはまずその ごじぶんの名前の斉藤を さいどうですと発音した 争えないのは血なのであるが かなしいまでに生々と 大陸 大海 大空はむろん たったひとりの人間の舌の端っこでも 血らは既に血を争っていた 斉藤さんは誰に訊かれても決して ごじぶんの生れた国を言わなかった 言うには言うが 眉間のあたりに皺などよせて 九州です と発音した

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