曲り角
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産めよ
殖やせよの時勢にふさわしく
国策に副うたと女房は言う
たべものなどにしてみても
好きなわさびを当分はたべないと言い
小魚なんぞは骨ごとたべてしまう
女房の言うこと
為すことには
私的な味がなくなって
おなかばかりが目立ってきた
あるとき
僕はながめていた
桜の木のある曲り角から
おおきなおなかが現われた
むろんそれは一目みて
産めよ殖やせよの見事な国策とわかつたが
女房の姿とわかったのは
しばらく経ってからのことみたいで
おなかに遅れてかなしそうに
息を喘いで現われて来た
その眼
その鼻
見てわかった
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