山之口貘

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操ではないのよ と女が言つたつけ ひらがなのみさをでもないのよ カタカナで ミサヲ と書くのよ と女が言つたつけ 書いてあつた宛名の 操樣を ミサヲ樣に書きなほす僕だつたつけ ふたりつきりで火鉢にあたつてゐたつけが 手が手に觸れて そこにとんがつてゐたあの 岬のやうになつた戀愛をながめる僕だつたつけ またはなんだつたつけ もはや二十七にもなつたこの髯面で 女の手を握りはしたんだがそれでおしまひのはなしだつたつけ

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