無機物
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僕は考へる
ふたりが接吻したそのことを
娘さんを僕に呉れませんかといふ風に
縁談を申し込みたいと僕は言ふのだが
浮浪人のくせに と女が言ふたんだといふやうに
ところが僕は考へる
浮浪人をやめたいとおもつてゐるそのことを
縁談はまとめて置いて直ぐにもその足で
人並位の生活をなんとか都合したいと僕は言ふのだが
それではものわらひになる と女が言ふたんだといふやうに
ところが僕はまた考へるのか
とにかく縁談をはなしだけでもまとめて置きたいとおもふそのことを
だからこんなに僕が話しても僕のこころがわからぬのかと言ふのだが
さよなら と女が言ふたんだといふやうに
戀愛してゐるその間
僕は知らずにゐたんだよ
現實ごとには仰天してゐるこの僕を
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