鹿と借金
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山の手のでぱあとの一角に
珈琲の店を経営しているとかで
うまい珈琲を
ごちそうしたいと彼は言った
岬の方には釣舟をもっているとかで
釣へも案内したいと彼は言った
なかでも自慢なのは鉄砲とかで
いずれそのうちに
鹿を射止め
鹿の料理をごちそうしたいとかれは言った
ぼくはかれに逢うたんびに
いまにもそこに出て来そうな
鹿だの釣だの珈琲だのをたのしみにして
かれの顔をのぞいては
まだかとおもったりしないではいられなかった
ところがどうにも仕方のないことがあって
ぼくはついかれに
金を借りてしまったのだ
そのかわりみたいにそれっきり
ごちそうの話がひっこんでしまって
金の催促ばかりが出てくるのだ
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