夕の光
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堤にもえし陽炎は
草の奈邊に匿れけむ
緑は空の名と爲りて
雲こそ西に日を藏め
さゝべり淡き富士が根は
百里の風に隔てられ
麓に靡く秋篠の
中に暮れ行く葦穗山
雨雲覆ふ塔に
懸れる虹の橋ならで
七篠の光、筑波根の
上を環れる夕暮や
雪と輝く薄衣に
痛める胸はおほひしか
朧氣ならぬわが墓の
影こそ見たれ野べにして
雲捲上る白龍の
角も割くべき太刀佩きて
鹿鳴く山べに駒を馳せ
征矢鳴らしゝは夢なるか
われかの際に辛うじて
魂、骸を離るまで
寂しきものを尾上には
夜は猿の騷がしく
水に映らふ月の影
鏡にひらく花の象
あこがれてのみ幻の
中に老いたるわが身なり
月無き宵を鴨頭草の
花の上をも仄めかし
秀峰光らす紅の
光の末の白きかな
縋りて泣かん妹の
萎れし花環投げずとも
玉の冠か金光の
せめては墓に輝かば
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