明日(『晶子詩篇全集』収録・同題第1篇)
本文の表示
明日よ、明日よ、
そなたはわたしの前にあつて
まだ踏まぬ未来の
不可思議の路である。
どんなに苦しい日にも、わたしは
そなたに憬れて励み、
どんなに楽い日にも、わたしは
そなたを望んで踊りあがる。
明日よ、明日よ、
死と飢とに追はれて歩くわたしは
たびたびそなたに失望する。
そなたがやがて平凡な今日に変り、
灰色をした昨日になつてゆくのを
いつも、いつもわたしは恨んで居る。
そなたこそ人を釣る好い香の餌だ、
光に似た煙だと咀ふことさへある。
けれど、わたしはそなたを頼んで、
祭の前夜の子供のやうに
「明日よ、明日よ」と歌ふ。
わたしの前には
まだまだ新しい無限の明日がある。
よしや、そなたが涙を、悔を、愛を、
名を、歓楽を、何を持つて来ようとも、
そなたこそ今日のわたしを引く力である。
ログインすると、お気に入り登録や選集への追加ができます。
ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。
明日の談話
疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。
まだ投稿はありません。
明日に寄せられた作品
詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。
まだ投稿はありません。
批評・感想 0
作品から読み取ったことや、自分の中に生まれた感覚をまとまった文章で残す場所です。
まだ解釈・感想はありません。
ログインすると解釈・感想を書けます。