晩秋(『晶子詩篇全集』収録)

与謝野晶子

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路は一すぢ、並木路、 赤い入日が斜に射し、 点、点、点、点、朱の斑…… 桜のもみぢ、柿もみぢ、 点描派の絵が燃える。 路は一すぢ、さんらんと 彩色硝子に照された 廊を踏むよな酔ごこち、 そして心からしみじみと 涙ぐましい気にもなる。 路は一すぢ、ひとり行く わたしのためにあの空も 心中立に毒を飲み、 臨終のきはにさし伸べる 赤い入日の唇か。 路は一すぢ、この先に サツフオオの住む家があろ。 其処には雪が降つて居よ。 出て行ことして今一度 泣くサツフオオが目に見える。 路は一すぢ、秋の路、 物の盛りの尽きる路、 おお美くしや、急ぐまい、 点、点、点、点、しばらくは わたしの髪も朱の斑……

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