元朝の富士
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今、一千九百十九年の
最初の太陽が昇る。
美くしいパステルの
粉絵具に似た、
浅緑と淡黄と
菫いろとの
透きとほりつつ降り注ぐ
静かなる暁の光の中、
東の空の一端に、
天をつんざく
珊瑚紅の熔岩――
新しい世界の噴火……
わたしは此時、
新しい目を逸さうとして、
思はずも見た、
おお、彼処にある、
巨大なダンテの半面像が、
巍然として、天の半に。
それはバルジエロの壁に描かれた
青い冠に赤い上衣、
細面に
凛凛しい上目づかひの
若き日の詩人と同じ姿である。
あれ、あれ、「新生」のダンテが
その優しく気高い顔を
一ぱいに紅くして微笑む。
人人よ、戦後の第一年に、
わたしと同じ不思議が見たくば、
いざ仰げ、共に、
朱に染まる今朝の富士を。
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