五月の海

与謝野晶子

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おお、海が高まる、高まる。 若い、やさしい五月の胸、 群青色の海が高まる。 金岡の金泥の厚さ、 光悦の線の太さ、 寫樂の神経のきびきびしさ、 其等を一つに融かして 音楽のやうに海が高まる。 さうして、その先に 美しい海の乳首と見える まんまるい一点の紅い帆。 それを中心に 今、海は一段と緊張し、 高まる、高まる、高まる。 おお、若い命が高まる。 わたしと一所に海が高まる。

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