与謝野晶子

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夕立の風 軒の簾を動かし、 部屋の内暗くなりて 片時涼しければ、 我は物を書きさし、 空を見上げて、雨を聴きぬ。 書きさせる紙の上に 何時しか来りし蜂一つ。 よき姿の蜂よ、 腰の細さ糸に似て、 身に塗れる金は 何の花粉よりか成れる。 好し、我が文字の上を 蜂の匍ふに任せん。 わが匂ひなき歌は 素枯れし花に等し、 せめて弥生の名残を求めて 蜂の匍ふに任せん。

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