初秋の歌

与謝野晶子

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初秋は来ぬ、白麻の 明るき蚊帳に臥しながら、 夜の更けゆけば水色の 麻の軽きを襟近く 打被くまで涼しかり。 上の我子は二人づれ 大人の如く遠く行き、 夏の休みを陸奥の 山辺の友の家に居て 今朝うれしくも帰りきぬ。 休みのはてに己が子と 別るる鄙の親達は 夏の尽くるや惜しからん、 都に住めるしあはせは 秋の立つにも身に知らる。 貧しけれども、わが家の 今日の夕食の楽しさよ、 黒川郡の山辺にて 我子の採れる百合の根を 我子と共にあぢはへば。

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