一すぢ残る赤い路
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藤とつつじの咲きつづく
四月五月に知り初めて、
わたしは絶えず此処へ来る。
森の木蔭を細やかに
曲つて昇る赤い路。
わたしは此処で花の香に
恋の吐息の噴くを聞き、
広い青葉の翻るのに
若い男のさし伸べる
優しい腕の線を見た。
わたしは此処で鳥の音が
胸の拍子に合ふを知り、
花のしづくを美しい
蝶と一所に浴びながら、
甘い木の実を口にした。
今はあらはな冬である。
霜と、落葉と、木枯と、
爛れた傷を見るやうに
一すぢ残る赤い路……
わたしは此処へ泣きに来る。
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