京之介の絵

与謝野晶子

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これは不思議な家の絵だ、 家では無くて塔の絵だ。 見上げる限り、頑丈に 五階重ねた鉄づくり。 入口からは機関車が 煙を吐いて首を出し、 二階の上の露台には 大起重機が据ゑてある。 また、三階の正面は 大きな窓が向日葵の 花で一ぱい飾られて、 そこに誰やら一人ゐる。 四階の窓の横からは 長い梯子が地に届き、 五階は更に最大の 望遠鏡が天に向く。 塔の尖端には黄金の旗、 「平和」の文字が靡いてる。 そして、此絵を描いたのは 小さい、優しい京之介。

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