〔無題〕(『晶子詩篇全集拾遺』収録・同題第16篇)

与謝野晶子

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跣足で歩いた粗樸な代の人が 石笛を恋の合図に吹くよな雲雀。 九段の阪を上るとて 鳥屋の軒で啼く雲雀、それを聞けば、 わたしの二人の子を預けて置く 玉川在の瑠璃色の空で啼いて雲雀が 薄くらがりの麦畑で 村のわんぱくに捕られたのぢや無か。 雛から鳥屋で育つた雲雀と知ながら、 五町すぎ、七町すぎ、 うちの門まで気に掛る雲雀。

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