夏の女王
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おお、暑い夏、今年の夏、
ほんとうに夏らしい夏、
不足の言ひやうのない夏、
太陽のむき出しな
心臓の皷動に調子を合せて、
万物が一斉に
うんと力み返り、
肺一ぱいの息を太くつき
たらたらと汗を流し、
芽と共に花を、
花と共に香りを、
愛と共に歌を、
歌と共に踊りを、
内から投げ出さずにゐられない夏、
金色に光る夏、
真紅に炎上する夏、
火の粉を振撒く夏、
機関銃で掃射する夏、
沸騰する焼酎の夏、
乱舞する獅子頭の夏、
かう云ふ夏のあるために
万物は目を覚し、
天地初生の元気を復活し、
救はれる、救はれる、
沈滞と怠慢とから、
安易と姑息とから、
小さな怨嗟から、
見苦い自己忘却から、
サンチマンタルから、
無用の論議から……
おお、密雲の近づく中の
霹靂の一音、
それが振鈴だ、
見よ、今、
赫灼たる夏の女王の登場。
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