巴里郊外

与謝野晶子

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たそがれの路、 森の中に一すぢ、 呪はれた路、薄白き路、 靄の奥へ影となり遠ざかる、 あはれ死にゆく路。 うち沈みて静かな路。 ひともと何んの木であらう、 その枯れた裸の腕を挙げ、 小暗きかなしみの中に、 心疲れた路を見送る。 たそがれの路の別れに、樺の木と 榛の森は気が狂れたらし、 あれ、谺響が返す幽かな吐息…… 幽かな冷たい、調子はづれの高笑ひ…… また幽かな啜り泣き…… 蛋白石色の珠数珠の実の 頸飾を草の上に留め、 薄墨色の音せぬ古池を繞りて、 靄の奥へ影となりて遠ざかる、 あはれ、たそがれの森の路…… (一九一二年巴里にて)

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