巴里雑詠

与謝野晶子

タグを編集・提案

作品の主題・モチーフなど、対象に固有の情報を登録してください。年代・形式・表記・文学運動などの共通分類は登録できません。会員タグの追加と、正式タグの削除は、5人の支持で自動反映されます。

ログインするとタグの追加・削除を提案できます。

巴里の宿の朝寝髪、 しろい象牙の細櫛で 梳けばほろほろ、あさましく 昨日も今日も落ちること。 君に見せじと、物かげに 隠れて梳けば、わが額の 鏡にうつる青白さ。 身のすくむまでうら悲し。 巴里の街の橡の葉は はや八月に散りかかる。 わたしの髪もこの国の 慣れぬ夜風に吹かれたか。 いいえ、それとも、憎らしく、 しろい象牙の細櫛が 鑢となりて擦り切るか。 恋を貪るこらしめに。 または悲しい人の世の 命の秋の入口に、 わたしも早く著きながら、 真夏の花をまだ嗅ぐか。 梳けばほろほろ、堪へかね、 昨日の恋が、今日の血が、 明日の夢が泣きじやくる。 からんだ髪を琴にして。 心ひとつは若々と、 かをる油に打浸り、 死なぬ焔を立つれども、 ああ灰のよに髪が散る。

ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。

批評・感想 0

作品から読み取ったことや、自分の中に生まれた感覚をまとまった文章で残す場所です。

まだ解釈・感想はありません。

巴里雑詠の談話

疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。

まだ投稿はありません。

話題を投稿する

巴里雑詠に寄せられた作品

詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。

まだ投稿はありません。

この詩に作品を寄せる