雪の朝
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夜が明けた。
風も、大気も、
鉛色の空も、
野も、水も
みな気息を殺してゐる。
唯だ見るのは
地上一尺の大雪……
それが畝畝の直線を
すつかり隠して、
いろんな三角の形を
大川に沿うた
歪形な畑に盛り上げ、
光を受けた部分は
板硝子のやうに反射し、
蔭になつた所は
粗悪な洋紙を撒きちらしたやうに
鈍く艶を消してゐる。
そして所所に
幾つかの
不格好な胴像が
どれも痛痛しく
手を失ひ、
脚を断たれて、
真白な胸に
黒い血をにじませながら立つてゐる。
それは枝を払はれたまま、
じつと、いきんで、
死なずに春を待つてゐる
太い櫟の幹である。
たとへば私達のやうな者である。
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