笛の音のする里へ行かうよ

萩原朔太郎

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俥に乘つてはしつて行くとき 野も 山も ばうばうとして霞んでみえる 柳は風にふきながされ 燕も 歌も ひよ鳥も かすみの中に消えさる ああ 俥のはしる轍を透して ふしぎな ばうばくたる景色を行手にみる その風光は遠くひらいて さびしく憂鬱な笛の音を吹き鳴らす ひとのしのびて耐へがたい情緒である。 このへんてこなる方角をさして行け 春の朧げなる柳のかげで 歌も燕もふきながされ わたしの俥やさんはいつしんですよ。

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