暮れなやむ心のあそび

北原白秋

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晩夏の暮れなやむ日のわがこころ 球突をばもてあそぶ、脳のくもりに うしろより煙草のくゆり病ましげに、 なにともわかぬ思きて覗く心地す。 玉ふたつわれの好める色したる、 また玉ふたつうち曇る白の円みす。 棒とりていづれか突かむ。うち見れば 萌黄の羅紗の台の面ほのに顫へる。 その嘆き、おぼろげながらわれぞ知る。 いつのゆふべとわかねども負傷ひし胸の そのにほひ、棒とりながらわれぞ知る。 かくてもやまぬわがあそび、色入りまじる。 そを見つつ後にけぶすかの思 なにしか笑ふ。さあれども暮るるこころは 色あかき玉もてあそびうちなやむ。 重き煙草にまどはしく眩暈みながら。 いづこにかものなやましきはなしごゑ あるはきこゑて、ものあかくあかる心地す。 わが脳のなかにか、室のうつつにか、 火点るごときそのけはひ、遊戯夜に入る。 四十一年八月

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