精舎

北原白秋

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うち沈む広額、夜のごとも凹める眼―― いや深く、いや重く、泣きしづむ霊の精舎。 それか、実に声もなき秦皮の森のひまより 熟視むるは暗き池、谷そこの水のをののき。 いづこにか薄日さし、きしりこきり斑鳩なげく 寂寥や、空の色なほ紅ににほひのこれど、 静かなる、はた孤独、山間の霧にうもれて 悔と夜のなげかひを懇に通夜し見まもる。 かかる間も、底ふかく青の魚盲ひあぎとひ、 口そそぐ夢の豹水の面に血音たてつつ、 みな冷やき石の世と化りぞゆく、あな恐怖より。 かくてなほ声もなき秦皮よ、秘に火ともり、 精舎また水晶と凝る時愁やぶれて 響きいづ、響きいづ、最終の霊の梵鐘。 以下五篇――四十一年三月

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