退屈な舟あし
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こんなに雨のふるのに
そと出をしなくともよいのに
ぬかつた道路へわたしは出てゆくのだ
そしてせいぜい煙草をひとつくらゐ買つて
雨にぬれた馬と車と人とを眺め
またもときた道路へひきかへすのだ
誰も見てゐないので引きずつて歩いた悲しい今日の心を
さて何にさぐりあててよいのか
家も馬も車も人も樹も悒せく濡れてゐた
その中をあるいてゐる私も
雨にけぶつた一すぢの河の上にも
快活を失つたあめいろの舟が濡れてゐた。
あんなに快活な舟でさへも
何といふ寂しいあしなみであつたことか
退屈ざましをしらない人生の或る日には
きさくな私さへ
馬や車や人や家や橋にまぎれて
とぼとぼとわるい顔いろをして歩いてゐた。
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