五月の歌(『晶子詩篇全集』収録・同題第2篇)

与謝野晶子

タグを編集・提案

作品の主題・モチーフなど、対象に固有の情報を登録してください。年代・形式・表記・文学運動などの共通分類は登録できません。会員タグの追加と、正式タグの削除は、5人の支持で自動反映されます。

ログインするとタグの追加・削除を提案できます。

ああ五月、我等の世界は 太陽と、花と、麦の穂と、 瑠璃の空とをもて飾られ、 空気は酒室の呼吸の如く甘く、 光は孔雀の羽の如く緑金なり。 ああ五月、万物は一新す、 竹の子も地を破り、 どくだみの花も蝶を呼び、 蜂も卵を産む。 かかる時に、母の胎を出でて 清く勇ましき初声を揚ぐる児、 抱寝して、其児に 初めて人間のマナを飲まする母、 はげしき※愛の中に手を執る 婚莚の夜の若き二人、 若葉に露の置く如く額に汗して、 桑を摘み、麻を織る里人、 共に何たる景福の人人ぞ。 たとひ此日、欧洲の戦場に立ちて、 鉄と火の前に、 大悪非道の犠牲とならん勇士も、 また無料宿泊所の壁に凭りて 明日の朝飯の代を持たぬ無職者も、 ああ五月、此月に遇へることは 如何に力満ちたる実感の生ならまし。

ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。

批評・感想 0

作品から読み取ったことや、自分の中に生まれた感覚をまとまった文章で残す場所です。

まだ解釈・感想はありません。

五月の歌の談話

疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。

まだ投稿はありません。

話題を投稿する

五月の歌に寄せられた作品

詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。

まだ投稿はありません。

この詩に作品を寄せる