空罎
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葡萄酒罎の上包、霊なるころも、
何の魔か、飽くなき慾の痙攣もて
かく引き裂り、むざむざと歩み棄てけむ。――
火の片ぞ素足にわれと泣かしむる。
いづくに行かば得らるべき命の糧ぞ。
踏むはただ鉛の路の火の飛沫、
死の色つづく高壁のつらねのそこを
蟻のごと匍ひもとほらむ末のすゑ。――
たちまち薫る酒の歌、蒸すかと見れば
赭ら頬の想の族らとりどりに、
はや、酔ひしれて狂れきぬ、あな、わが血にぞ。
かくて、見よ、わが幻に転ぶもの
吸い尽くされし空の罎、――空なる命、
最終の辻の恐怖に、ふと青む。
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